ジャニーズ問題で見落とされてきたこと私は、1990年代に週刊文春とジャニーズ事務所が争った、いわゆる「ジャニーズ裁判」の当事者でした。性加害が最高裁でも認定されたにもかかわらず、捜査機関も、メディアもまったく動かなかったこと、そして、いまでも、実は、メディアも人々も真剣に向き合っていないと考えています。 しかし世の中、ジャニーズ問題は終息したと受け取っているようです。その証拠に、7月18日『ラストインタビュー 藤島ジュリー景子との47時間』(早見和真著・新潮社)が刊行されました。最後に藤島ジュリー氏がかたるのですから、彼女の中でも、あるいは、当然出版を知っている事務所も、基本的に「終戦処理は終わった」と考えたのだと思います。しかし、実態はまったくちがうことに、私は最近気付きました。当時の連載や、その後のジャニーズ記者会見に対する自分の記事でも、まったく考えてこなかった問題にようやく気付いた