1975年9月。 孫正義はアメリカの高校生活を3週間で終えて、ホーリー・ネームズ・カレッジに入学した。 「ほんとうに勉強をせんといかん」 そう決意した直後、孫はドアを買いにいった。 取っ手のついていない大きなドアを特大の机にした。 その上に教科書、辞書、参考書など何から何まで置いた。 ライトは3ヶ所から照らした。 「グワーッ」という唸り声と共に勉強を始めた。 食事をするときも風呂に入るときも勉強した。 湯船につかっていても教科書からは目を離さない。 車を運転するときは講義を録音したテープをヘッドホンで聞いた。 信号待ちのときは「時間がもったいない」と教科書を開く。 背中に黄色いリュックサックを背負い、教科書一式を入れた。 コットンのズボンを改良し、大きなポケットをズボンに縫い付け、そこにペンから定規から電卓まで全てを入れて歩いた。 授業では一番前の席を陣取り、教授に質問しまくった。 特にビ