「幸せって何だろう」は、小説家、エッセイスト、俳優、タレントなど、さまざまな分野の方にご自身の「幸せ」についての考え方や、日々の生活で感じる「幸せ」について綴っていただくリレーエッセーです。 今回は、くまモンの生みの親でもある放送作家・脚本家の小山薫堂さんが子供の頃の思い出を辿り、「幸せ」について考察してくださいました。 子供の頃、ゴーカートが大好きだった。ある日曜日、父親の運転で遊園地に向かう車内での出来事。渋滞に巻き込まれて疲れ切った表情でハンドルを握る父親に、8歳の僕は熊本弁でこう言った。 「これからゴーカートに乗るとに、どうしてそぎゃんつまらん顔ばしとっと? 嬉しくなかとね?」 すると父親は冷静にこう返してきた。 「お父さんはな、ゴーカートよりも速く走れる車ばここまで運転して来たとよ。だからもうこれ以上、運転はせんでよか。ゴーカートには乗らんけんね」 何てつまらない人間だろう、とそ