2011年版 間違いだらけのクルマ選び [著]徳大寺有恒、島下泰久[評者]速水健朗(フリーライター)[掲載]2011年7月24日著者:徳大寺有恒・島下泰久 出版社:草思社 価格:¥ 1,470 ■「車語り」が止まらない日本 国内で新車は売れないが『2011年版間違いだらけのクルマ選び』が売れてるという。 本書の登場は76年。日米貿易摩擦の入り口。日本が世界に誇るものづくり大国としての道を歩み始めた矢先である。 そんな折、徳大寺は“欧州車には「先進的」な思想があるが日本車は「安くていいクルマ」だけで思想がない”と断罪する。自動車の買い方マニュアルではない。本書は背景にある物づくりの思想を語る批評だったのだ。 それがベストセラーとなり、毎年刷新版が出るようになる。長年続いた本シリーズは、5年前に終刊した。ユーザーの関心は燃費や“エコ”だけに終始し、若者は自動車に憧れを抱かなくなった。昨年の雑