世評の高かった細田監督の前作「時をかける少女」に、フラットな人間特有の思い上がりのようなものを感じ、自分が大事にしている部分でかなり重大な違和感を持っていたので、それなりに身構えた観方をしていたはずなのだが、いやいや…見事にやられました。 製作者たち自身もテーマとして喧伝している、田舎や大家族の描写については、まったくリアリティを感じなかった(むしろ、そっちについてはおざなりで、仮想空間のシーンになると途端に活き活きしてくるような印象を持った)。あまりにも表面的であっさりしているから、違和感とかそういうこと以前に、ほとんど印象にも残らなかった(例えば、家族の繋がりを象徴する食卓を囲むシーンで、全然メシがうまそうじゃないのが象徴的。これが宮崎駿なら、食事作りのディティール含めて、思いきり凝りまくって、体感的にテーマを伝えたはず)。 つまり、彼らが口ではどう言っていようと、本当の興味はそこには