ちゃんと別の話に行きつくことを断ったうえで、また犬の話からはじめる。 生後4ヵ月を過ぎたうちの犬は、まあ咬みぐせがひどかった。いま劇的に改善しつつあるのだけど、とにかくひとの手を咬み、足を咬み、服を咬みまくっていた。訓練士の先生は「この子、見た目よりも怖がりなんですよ」と言った。ストレスに弱いから、とりあえず咬もうとする。それで防御しようとする。別に攻撃したいんじゃなくって、ビビリなだけなんです、と。 人間でもまったく同じだなあ、と思う。 「傷つきやすいひと」は、往々にして「傷つけやすいひと」とイコールだったりする。ちいさなことに傷つくひとは、同じくちいさなことで誰かを傷つけていく。怒りの沸点が低く、しょうもない私憤を、たいそうな公憤であるかのようにすげ替えて、誰かを攻撃する。 アドラー心理学では、「ひとは自身の劣等感を刺激されたとき、『怒り』の感情を持ちだし、他者を攻撃する」と考える。
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