そうした楽しさを甘受できる最良のメディアのひとつが漫画であることに、異論を挟む読者はいないだろう。 そして、さまざまな人の生を体験できる漫画として『GQ JAPAN』が2016年に最も推したいのが野田サトルの『ゴールデンカムイ』(集英社)である。 明治後期の北海道を舞台に、日露戦争を生き残った元兵士・杉元とアイヌの少女・アシㇼパが、網走監獄の死刑囚が秘匿している黄金を探し当てようとする物語。アイヌや軍だけでなく、新撰組の残党からヤクザまでが争奪戦に参入し、それぞれの信念を貫くため、時に非道に、時にコミカルに黄金の手がかりを奪い合う。 群雄活劇とも言える本作品だが、コミカルな料理の描写も魅力的だ。アシㇼパが杉元たちにアイヌの伝統的な狩猟と料理を教える様子が頻繁に描かれており、本作で見られる野趣に溢れたジビエのファンも多い。『ゴールデンカムイ』がグルメ漫画とも言われる所以だ。 たとえば、鳥獣や
![食べて生きよ!『ゴールデンカムイ』作者・野田サトル](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/9137be1d3cf12c34f12c4504c8afc6588587d7ae/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fmedia.gqjapan.jp%2Fphotos%2F5d2799f7f05c650008e44055%2F16%3A9%2Fw_1280%2Cc_limit%2Fgolden-kamuy_ec.jpg)