ブックマーク / realsound.jp (15)

  • 「書店にない」ラノベ人気作『涼宮ハルヒの憂鬱』絶版騒動ーー公式反応でファン安堵も看過できない理由は?

    谷川流『涼宮ハルヒの憂』(KADOKAWA) 2003年に『涼宮ハルヒの憂』が発売されて以来ベストセラーとなっている『涼宮ハルヒ』シリーズ。2000年代のライトノベルの金字塔であるだけでなく、京都アニメーションによってアニメ化されて大ヒット。京アニの評価を決定づけた、この時代を象徴するアニメのひとつとされている。 そんな『涼宮ハルヒ』シリーズの公式Xが、7月16日に行ったポストがファンの間で話題になっている。それは以下のようなものだ。 「涼宮ハルヒ」シリーズはいずれも紙のでの販売を継続しており、絶版にはなっておりません! 今でも少しずつ重版を重ねて書店さんに置いていただいています。安心してお楽しみください! もちろん全巻電子書籍も発売中です。 角川スニーカー文庫版も、角川文庫版も、どちらも発売中です。気に入った装丁でぜひお手に取ってください! 「涼宮ハルヒ」シリーズはいずれも紙の

    「書店にない」ラノベ人気作『涼宮ハルヒの憂鬱』絶版騒動ーー公式反応でファン安堵も看過できない理由は?
  • 話が飛ぶ人は体内に複数の時間が流れているーーADHD当事者の作家が描くエッセイ『あらゆることは今起こる』

    小学校1年生のときの教室。クラスメイトたちの当たり前を、自分だけがさっぱり理解できず、それを周囲には悟られないように平静を装いながら、内心はげしく動揺している。もしかしたら自分は気づかないうちに、どこかに存在する「並行世界」に迷い込んだのかもしれない。そう思うと、次第に怖くなってくる。 小説家・柴崎友香の『あらゆることは今起こる』は、そんな「小説の始まり」のようなエピソードから始まる。でも、これは「小説」ではない。2021年9月にADHD(「注意欠如多動症」)の診断を受けたという柴崎が書き下ろした、発達障害をめぐるエッセイだ。医学書院の「ケアをひらく」シリーズに収められているのだが、そのコンセプトにたがわず、ひじょうに平易な言葉遣いで、発達障害の特性を知ることができる。著者自身が発達障害についての考えを深める過程と並行して書かれていて、ADHDという言葉を耳にしたことはあっても、充分に考え

    話が飛ぶ人は体内に複数の時間が流れているーーADHD当事者の作家が描くエッセイ『あらゆることは今起こる』
  • 「声優アニメディア」休刊に寄せて 2004年の創刊から変化した、声優雑誌の役割と課題

    「声優アニメディア」が6月10日発売の「声優アニメディア 夏号」を最後に休刊となる。ネットに読者を奪われた紙の雑誌が、次々と休刊になっている流れに沿ったものとも言えるが、声優人気に陰りは見えず逆に注目は高まる一方。活躍する場となっているアニメも全世界的な盛り上がりを見せているだけに、どうして今なのかといった疑問も浮かぶ。声優雑誌はどこに行くのか? 「声優アニメディア VOLUME.1」 水樹奈々、田村ゆかり、清水愛といった女性声優の名前が、大きな文字でずらりと並んでいる。保志総一朗、三木眞一郎、関智一といった男性声優の名前も見える。2004年に創刊された「声優アニメディア VOLUME.1」の表紙を見ると、その頃にどのようなアニメが放送されていて、誰が声優として活躍していたかを思い出せる。 これが、現在発行されている最新号「声優アニメディア 春号」(メイン画像)では大きく違ってくる。フロン

    「声優アニメディア」休刊に寄せて 2004年の創刊から変化した、声優雑誌の役割と課題
  • 聖徳太子はなぜ「超能力者」として語られるようになったのか? 偽史言説や陰謀論のメカニズム

    『隠された聖徳太子――近現代日の偽史とオカルト文化』(ちくま新書) 『隠された聖徳太子――近現代日の偽史とオカルト文化』(ちくま新書)は、日史上もっとも神秘的な「聖人」である聖徳太子が、1000年以上ものあいだどのように語り継がれてきたのかを辿ることで、その時代ごとに人々がなにを求めていたのかを探った一冊だ。戦前/戦後の聖徳太子像の変化や、1970年代のオカルトブームにおける聖徳太子像などを捉え直し、「歴史」と「偽史」の曖昧な境界を歩む書は、昨今流布する陰謀論などについて改めて考える上でも有益な読み物と言えるだろう。著者のオリオン・クラウタウ氏に、オカルトや偽史も含めて聖徳太子を研究する意義を聞いた。(編集部) オリオン・クラウタウ氏。東北大学大学院国際文化研究科准教授。 専門は宗教史学(近代日仏教)。 ――そもそもクラウタウさんは、聖徳太子の存在をどのような文脈のもとに知ったの

    聖徳太子はなぜ「超能力者」として語られるようになったのか? 偽史言説や陰謀論のメカニズム
  • 日本の歴史上、最も有名な武家法「御成敗式目」はなにが画期的だったのか? 気鋭の歴史学者・佐藤雄基に訊く

    1232年、鎌倉幕府三代執権の北条泰時により制定された初の武家法「御成敗式目」は、日歴史上「最も有名な武家法」とも称され、今なお広くその名が知られている。しかし、その内容が詳らかに知られてはいないだろう。 中公新書より刊行された『御成敗式目 鎌倉武士の法と生活』は、同法の主要な条文を詳しく解説、実態や後世への影響を明らかにした一冊だ。著者の佐藤雄基氏に、同書の狙いと「御成敗式目」の先進性について話を聞いた。(編集部) 佐藤雄基氏 ――「御成敗式目」と言えば、昨年(2022年)放送されたNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では坂口健太郎さんが演じていた北条泰時が制定した日初の「武家法」として有名ですが、今回それをメインに扱った新書を執筆しようと思った、そもそもの動機やきっかけは何だったのでしょう? 佐藤雄基(以下、佐藤):私はもともと日の中世の法を研究しています。平安時代の終わりから鎌

    日本の歴史上、最も有名な武家法「御成敗式目」はなにが画期的だったのか? 気鋭の歴史学者・佐藤雄基に訊く
  • 日本と中国で根本から違う「ゲーム作り」の考え方  『原神』『崩壊』で約5400億円の売上を叩き出したmiHoYoの快進撃から読み解く

    アプリのセールスランキングに名前が載っているのだから、比較対象は同じくそこに名を連ねている作品であるべきなのだが、稿ではそれを基準に考えることに対して提言を試みたい。ひとくちに「スマホゲー」と言っても、そこにある体験は千差万別である。したがって、そこに当てはめて考えることによって解像度が下がる作品もあるはずだ。 筆者は『原神』や『崩壊』シリーズがそれに当たると考えている。中国出身の友人(日ゲーム会社に務めているアラサー世代)いわく、「日中国におけるゲーム作りは根から考え方が違う」という。多くの場合、日ゲームメイカーは「スマホゲーム」として制作する場合、明確にスマホ用として開発する。一方、中国ゲームデザインは、先にゲームの体験や内容から考えるという。そこにコンシューマかスマホかといった区別はなく、それゆえにマルチプラットフォームであることが求められるのだと。これについては『

    日本と中国で根本から違う「ゲーム作り」の考え方  『原神』『崩壊』で約5400億円の売上を叩き出したmiHoYoの快進撃から読み解く
  • メタルは“開かれた音楽”として発展する ポップスやヒップホップなど広範なジャンルへの浸透も

    近年のポピュラー音楽シーンにおけるメタル要素の普及・偏在化 この記事の趣旨は「近年(2010年代終盤〜2020年代以降)のメタル動向の総括」なのだが、それを具体的に述べる前に、読者の方々、特に「メタルは自分とは関係ない」と思っている人に知ってほしいことがある。 ①音楽ジャンルとしてのメタルをあまり聴いていないと思っている人でも、メタル的な音を耳にする機会は実は多い。 ②近年、世界的に大きな支持を得ているカルチャーがメタル由来の意匠を用いることが増えてきているため、メタル的な視覚要素が人目に触れる機会も非常に多い。 まず、①について。例えば、リナ・サワヤマやフィービー・ブリジャーズはインディ〜オルタナ方面の音楽ファンから大きな支持を得ているが、ともにメタルに影響を受けており、いずれもMetallicaのカバーアルバム『The Metallica Blacklist』(2021年)に音源を提供

    メタルは“開かれた音楽”として発展する ポップスやヒップホップなど広範なジャンルへの浸透も
  • 『すずめの戸締まり』北米初登場7位で大絶賛に 波紋を呼ぶアリ・アスター監督の新作も

    「日VSホラー」。4月14日~16日の北米週末興行収入ランキングを一言で言うのなら、そういう言葉がふさわしいのかもしれない。先週に続き、第1位は『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』。3日間で8700万ドルを記録し、アニメーション映画の2週目の興行成績として、再び『アナと雪の女王2』(2019年)を抜いて史上最高の数字となった。 『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のすさまじさは、どんな大作映画であれ、だいたいは2週目の下落率が大きくなる傾向の中、前週比-40.6%という粘りを見せた点にある。特にスーパーヒーロー映画やホラー映画の場合、2週目の下落率は-60%以上となることもザラで、これは公開初週に映画館を訪れる熱心なファンが興行を支えていることを意味する。これに対して「-40.6%」という数字は、いかに作が新しい観客を招き入れているかの証左と言えるだろう。 『ザ・スーパーマ

    『すずめの戸締まり』北米初登場7位で大絶賛に 波紋を呼ぶアリ・アスター監督の新作も
  • 中村うさぎ、ラノベ黎明期から様変わり「異世界転生」氾濫に喝「テンプレ小説ばかり、書いてて恥ずかしくないのかな」

    中村うさぎ、ラノベ黎明期から様変わり「異世界転生」氾濫に喝「テンプレ小説ばかり、書いてて恥ずかしくないのかな」 あらゆる大手出版社から刊行され、巨大な市場に成長しているライトノベル。メディアミックスも好調で、その勢いはとどまるところを知らない。そんなライトノベルの黎明期はいったいどのようなものだったのか。黎明期にラノベ作家としても活躍をしていた中村うさぎに今だからこそ話せるデビューまでの経緯と、当時のライトノベル界の話をじっくりとうかがった。 売れっ子ライトノベル作家であった中村うさぎ 中村といえば自身の買い物依存症から、美容整形、ホストクラブ、そして風俗とあらゆるジャンルを網羅したエッセイストとして名高く、マツコ・デラックスを発掘して芸能界進出へ導いたことでも知られるが、1990年代には『ゴクドーくん漫遊記』を筆頭にヒットを連発していた売れっ子ライトノベル作家であった。その後の活躍が有名

    中村うさぎ、ラノベ黎明期から様変わり「異世界転生」氾濫に喝「テンプレ小説ばかり、書いてて恥ずかしくないのかな」
  • 『すずめの戸締まり』などアニメ映画の興行で定着した入場者特典 コストは億超え?

    アニメ映画の興行ですっかり定着した入場者特典。近頃では、第5、6弾くらいまで特典を用意するのが当たり前になりつつある。 こうした傾向を「特典商法」と揶揄する向きも一部にある。映画は商売であることは絶対に否定できない事実なので、たしかにこれは「商法」である。それ自体は正しい。 しかし、これが揶揄されるべきことかどうかには一考の余地がある。そもそも、「商法」という言葉にどうして悪い印象があるのだろう。商売である以上、商法があるのは当たり前なのに。 特典商法は悪で、マスメディアによる大量宣伝手法は悪ではないのだろうか。編にはないシーンを予告で使用する商法は悪ではないのか、前売り券を大量に配るのはどうか。映画が日でまだ活動写真と呼ばれていた頃には、フィルムの回転スピードを上げて上映時間を短くして、一日の上映回数を増やすということも行われていたらしいが、これは悪だろうか。 時代によって映画の商法

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  • 『隣り合わせの灰と青春』から『ブレイド&バスタード』へ ベニー松山 × 蝸牛くも、ウィザードリィ対談

    ゲーム好きにはコンピュータRPGの代名詞として知られるウィザードリィをモチーフにした小説『ブレイド&バスタード -灰は暖かく、迷宮は仄暗い-』が、2022年12月10日にDREノベルスから刊行された。書いたのは『ゴブリンスレイヤー』の蝸牛くも。シリアスで殺伐とした世界観が特徴のファンタジーを得意とする作家は、ウィザードリィの世界を書くに当たって、ベニー松山による伝説的なウィザードリィ小説小説ウィザードリィ 隣り合わせの灰と青春』から大いに影響を受けたという。今回、そのベニー松山と蝸牛くもが初めて対談し、お互いの作品をどう読んだか、そしてウィザードリィの魅力はどこにあるのかを語り合った。【インタビュー最後にプレゼント企画アリ!】 ※メイン画像=左『小説ウィザードリィ 隣り合わせの灰と青春』、右『ブレイド&バスタード -灰は暖かく、迷宮は仄暗い-』 ウィザードリィは油断するとパーティが容易に

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  • 『ぼっち・ざ・ろっく!』「ちゃお」から「きらら」に作者が移籍し大ヒット! なぜ萌え系4コマ漫画誌から話題作が生まれる?

    ぼっち・ざ・ろっく!』「ちゃお」から「きらら」に作者が移籍し大ヒット! なぜ萌え系4コマ漫画誌から話題作が生まれる? 現在、少女漫画界の最大の問題は、爆発的なヒット作が長らく出ていないことである。アニメーション全体の制作数は増えているし、『鬼滅の刃』や『SPY×FAMILY』など、少年漫画からは絶え間なくヒット作が出ている。しかし、少女漫画を原作とするアニメがほとんど制作されていないのは寂しい限りだ。映画化される作品は時折あるが、社会現象になるほどのヒットには至っていないのが実情であろう。 2018年に放送が始まった『カードキャプターさくら クリアカード編』は、アニメファンの間では話題になった。しかし、あくまでも作は20年以上前に始まった漫画の続編である。それに「なかよし」の連載陣を見ると、2000年前後に連載していた漫画の続編が多い。もはや少女がターゲットではなく、大人を意識した誌

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  • 日本全国のシネコン、『すずめの戸締まり』にほぼ戸締まりされる

    先週末の動員ランキングは、『ONE PIECE FILM RED』が土日2日間で動員9万人、興収1億2300万円をあげて13週目の1位となった。11月6日までに累計動員は1301万人、累計興収180億円を突破しているが、ギョッとするのは週末の数字だ。興収1億2300万円で1位。これは、首位の週末興収としてはコロナ禍前までの水準だと年間でも最低レベルの数字である。 そのことを踏まえずに、今週末の日全国のシネコンのスクリーンが新海誠監督の新作『すずめの戸締まり』にほぼ占拠されることを批判しても仕方がない。8月以降、新作では最終興収30億円の大台にギリギリ届きそうな『沈黙のパレード』をほとんど唯一の例外として、『ONE PIECE FILM RED』におんぶに抱っこ状態だった国内の映画興行。『すずめの戸締まり』は待ちに待った「大ヒットが約束された作品」なのだ。そこでもし観客を取りこぼすようなこ

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  • “次の雨穴”として出版業界が大注目? ダ・ヴィンチ・恐山(品田遊)とは何者なのか

    謎の覆面ミステリ作家・雨穴の新作『変な絵』(双葉社)が売れ続けており、フジテレビ系の情報番組『めざまし8』が報じた“出版界のAdo”という言葉もSNSのトレンドになった。そんななか、同じくウェブメディア「オモコロ」のライターとしての一面を持つ「ダ・ヴィンチ・恐山」こと品田遊が11月7日、短編SF小説集『名称未設定ファイル』(朝日文庫)、ウェブマガジンの日記をまとめた『キリンに雷が落ちてどうする 少し考える日々』(朝日新聞出版)を同時に刊行。さっそくAmazonランキングで上位にい込み、好調な出だしとなっている。「オモコロライター」であるほか、メディア露出の際に仮面をかぶっていることも雨穴と重なるが、果たしてどんな人物なのか。 「オモコロ」というメディアについては、当サイト記事「雨穴、地獄のミサワ、ダ・ヴィンチ・恐山……次世代作家を輩出する『オモコロ』の強み」に詳しい。雨穴は2018年、同

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  • 「週刊少年マガジン」連載作品の半分がラブコメになったのはなぜ? 編集長に聞く時代背景と戦略

    「週刊少年マガジン」(講談社)連載作品の約半分がラブコメになっている。マガジン読者からすれば「何を今さら」な話だろうが、かつては読んでいたが最近は読んでいないという30代以上には驚く人もいるかもしれない。 マガジンでラブコメ作品が増えていった理由と、「マガジンらしいラブコメ」とはどんなものかについて栗田宏俊編集長のコメントを交えて考えてみたい。 マガジンの半分がラブコメになったのはなぜ? 30~40代のかつての読者には「マガジンはヤンキーマンガに強い」という人もまだいるかもしれないが、それにしてもなぜここまで増えたのか。栗田氏は「特にヤンキーマンガを強化しようとか、ラブコメを充実させようということはありません。いい作品を載せるというだけです。いい作品を載せていたら、たまたまラブコメが多かった。結果的にラブコメが多くなったのは、時代がそれを求めているからだと思います」と語る。 ラノベでも近年

    「週刊少年マガジン」連載作品の半分がラブコメになったのはなぜ? 編集長に聞く時代背景と戦略
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