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ブックマーク / note.kishidanami.com (3)

  • 神様|岸田奈美|NamiKishida

    今日、たぶん、神様に会った。 よく澄んで晴れた、秋の午後だった。 総胆管結石で入院している母からLINEで連絡があった。 「退院、来週明けやって」 もともとは何週間か入院するかもと聞いてたので「あらま!」と弾んだ返信を打っていたら。 「肝臓が回復したらすぐに、また入院やって」 わたしは「あらま!」を「あらま…」にサッと打ち直した。 3日前に内視鏡での手術を終えたばかりの母だったが、結石が大きく、取り去れなかった。年内にもできるだけ早く、お腹を開く手術を受ける。この病気では、よりにもよって一番難しい手術だ。 「命にかかわるようなことはないんやって」 母の連絡を受けて、わたしはまず、年末の旅行のキャンセルに取りかかった。母が行きたいと願った場所だった。 レンタカー、飛行機、ホテル、次々と予約を取り消す。キャンセル料で3万円ほど引かれた。母からは、ドラえもんが天を仰いで大泣きしているスタンプだけ

    神様|岸田奈美|NamiKishida
  • 家を出るダウン症の弟にはなむけをしたら、えらいことになった(総集編)|岸田奈美|NamiKishida

    キナリ★マガジンで5ヶ月間、10万文字にわたって連載してきた「姉のはなむけ日記」を、9000文字にギュッとして書いた総集編です。全文、無料で読めます。 ゾッとした。 この二年間で、ばあちゃんは認知症になって施設で暮らしはじめ、車いすに乗っている母は心内膜炎で死にかけ、わたしは会社をやめて作家業についた。 ダウン症で4歳下の弟だけは、実家で暮らし、福祉作業所へ通って手仕事をし、マイペースを貫いていた。 ふと立ち止まって、ゾッとしたのは。 この先、わたしや母の身になにかあれば、弟がひとりぼっちになるということ。 わたしですら、ばあちゃんの介護がはじまったとき、役所で福祉の手続きをしたらあまりに面倒でややこしく、泡吹いて倒れそうになったのだ。 障害があってうまく話せない弟は、ちゃんと頼れるんだろうか。 いざというときに頼れる先は、多いほうがいい。弟は26歳。いい人間関係ををつくるには時間がいるの

    家を出るダウン症の弟にはなむけをしたら、えらいことになった(総集編)|岸田奈美|NamiKishida
  • 弟が大金を稼いだので、なにに使うかと思ったら|岸田奈美|NamiKishida

    岸田家の歴史を揺るがす大事件が起きた。 わが弟が、莫大なお金を稼いだのである。 大金とは、彼が三十年働いて手にするはずの金額だ。 それを数時間で。 田舎の片隅にある剥がれたフローリングの我が家から、絶世の富豪が爆誕した。血統書のない梅吉(犬)も、高貴なチャウチャウに見えてくる。 弟は生まれつきダウン症なので、障害のある人が集まる福祉作業所で、平日の朝から夕方まで働いており、日給は500円だけど昼が450円なので、手取りは50円だということは、一旦、横に置いておく。 富豪が爆誕したのだ。 (※賃金は弟の障害の程度、作業所が受注できる業務の量、通っている人数などの兼ね合いがあり、弟も働くというよりは、みんなで喋ったり、散歩したりすることをなによりの目的にして通ってるので、ゆるく受け入れてくださる福祉作業所のみなさまにとても感謝しています) さて、その気になる稼ぎ方であるが。 手書きカレンダー

    弟が大金を稼いだので、なにに使うかと思ったら|岸田奈美|NamiKishida
    grisella
    grisella 2021/10/20
    この話に感動した人や、味のある品物に心惹かれる人が、作業所製品に興味持ってくれたらうれしい。ちょっと調べたら、わりと身近にそういう人達がいることに気がつくはず。例えばこういう工房。https://maruworks.org/
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