東京電力福島第1原発事故直後、菅直人前首相らが東電から原発からの「全員撤退」を伝えられたと主張している問題で、政府の事故調査・検証委員会(畑村洋太郎委員長)は7月23日に公表される最終報告書で、東電は撤退を検討せず菅氏らの誤解と結論づける方針を固めたことが、関係者への取材で分かった。危機的状況で退避検討のきっかけとなった2号機が峠を越し退避の必要がなくなったのに、官邸の連携不足で菅氏らに伝わらず「全員撤退」という誤解を解消するきっかけを失った可能性があったという。 この問題については、国会の事故調査委員会(黒川清委員長)も「東電は全員撤退を決定した形跡は見受けられない」という見解を示している。政府事故調によると、2号機は11年3月14日深夜にかけて高圧になり、燃料が露出しているとみられていた。しかし、減圧操作に手間取り、注水できない状態が継続。当時の吉田昌郎所長は、このままでは燃料と共に圧