『永遠の0』の映画版で、原作からカットされたエビソードとして、脱出中の米パイロットの落下傘を主人公宮部が、撃つというものがある。主人公のこんな反倫理的行為は、おそらくドラマ版でも描写されないと思うが、小説の中では、宮部は戦争はきれい事ではない、と要約できることを言い、その後、死んだと思われていた米軍パイロットが、生存していて、宮部のことを恨んでいない、と言うのだ。 戦後、宮部の部下と件の米軍パイロットが対面して会話をする。 「彼に会いたかった」 「恨んでいないのか」 「なぜ恨む?」 「パラシュート降下しているあなたを撃ったのですよ」 「それは戦争だから当然だ。我々はまだ戦いの途中だった。彼は捕虜を撃ったのではない」太平洋戦争当時には、「空戦に関する規則案」というものがあってだな。その第20条に航空機から落下傘で脱出中の乗員を攻撃してはならない、という主旨のことが書いてあるのだが。*1 Ar