朝鮮王朝を樹てた太祖・李成桂(1335~1408、右)と、王朝最後の大韓帝国皇帝・純宗(1874~1926、左) ソウルの独立門は、日本ではなく清からの独立を意味して建てられた――そんな基本的な史実すら、日本ではもちろん、韓国でも知られていないという。たしかに朝鮮半島の歴史といえば、日韓併合と朝鮮戦争ばかりが注目され、それ以前の歴史は等閑視されがちだ。その空白を埋めるべく、新城道彦氏が『朝鮮半島の歴史――政争と外患の六百年』(新潮選書)を上梓した。東洋史家の岡本隆司氏が読みどころを紹介する。 ***** ありそうでなかった通史 世の中にはありそうで、ないものがたくさんある。ごく狭いわが歴史学界の著述も、おそらくその例にもれない。単著一冊本の通史など、その最右翼であろう。 ある韓国の中国史学者はこう述べて、事情を説明してくれた。研究者は「専攻する地域と時代に対する非常に小さな主題を扱った学術
![朝鮮が「中国の属国」だった歴史はなぜ知られていないのか:岡本隆司 | ブックハンティング | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/a4d3c6333a605b1eb4abbd09695535d5bbbbc3f2/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Ffsight.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F1%2Fe%2F1200w%2Fimg_1ee53d92e9811c302d175ba14b46f6d1176321.jpg)