死期に備え準備、活動する“終活”。近年書籍などではよく論じられるが、家族間で死について語ることはいまだタブー視されがちである。安楽死とは何を指すか、安楽死を悪用させないための仕組みづくりをどうするか。自身も安楽死を望む橋田壽賀子さんの提言。(出典:文藝春秋オピニオン 2018年の論点100) 自分で判断ができるうちに、死ななければ 私が安楽死を望むのには、私なりの理由があります。もうじゅうぶんに生きて、仕事はやり過ぎるほどやったし、世界中の行きたい場所へ行ったし、思い残すことは何もない。夫には30年近く前に先立たれ、子どもはなく、親しい友人もいない。天涯孤独の身だから、長く生きて欲しいと望んでくれる人もなく、あの人のために生きていたいと願う相手もいない。これ以上生きていても、世の中の役に立たない。 役に立たなくても元気でいて、他人に迷惑をかけないうちはいいのです。ところが私は92歳。いまは