宴席で蜀の音楽が演奏されて、蜀の旧臣が落涙していたときにも劉禅は笑っていた。それを見た司馬昭は、「人はここまで無情になれるものなのか。諸葛亮が補佐し切れなかったのだから、姜維には尚更無理だっただろう」と賈充に語った。賈充はそうでなければ殿下はどうして蜀を併合できましたでしょうかと答えた。また、司馬昭が劉禅に「蜀を思い出されますか?」と尋ねたところ「いいえ、ここは楽しく、蜀を思い出す事はありません」と答えた。これには家来のみならず、列席していた将たちさえも唖然とさせられた。傍に居た郤正は、「あのような質問をされたら、『先祖の墳墓も隴・蜀にありますので、西の国を思って悲しまぬ日とてありませぬ』とお答えください」と諫めた。司馬昭は再度同じことを質問したところ、これに対し劉禅は事前に言われた通りに答えた。「これは郤正殿が言った事と全く同じですね」と司馬昭に言われ、劉禅は驚いて「はい、仰る通りです」