バウハウス閉校から90年。ナチスが奪った表現の現在地点とこれから2023年、ドイツ・ヴァイマールに生まれた革新的な総合造形学校「バウハウス」は閉校から90年を迎えた。ナチスが奪い去った表現がいかにして今日まで続いてきたのか。閉校90年を契機に振り返るとともに、バウハウス思想の現在地点と、これからのあり様について考察する。 文=深川雅文 バウハウス・デッサウ校舎 撮影=Eiji INA 「バウハウス」とは、1919年に建築家のヴァルター・グロピウスによってドイツ・ヴァイマールに創設された総合造形学校だ。「建築」を基軸にした総合的な造形芸術教育を実践し、近代デザインの形成に大きな影響を与えたことでも知られている。 2019年はその開校100周年を迎え、ドイツを中心に世界中で記念のイベントが開催された(*1)。それから4年後の2023年は閉校から90年を数える。改めて、閉校という視点からその過去