世界的に深刻な問題となっている食料不足と価格の高騰。「コメ以外の食料は海外から安く買えばいい」との食料政策で長年、輸入に頼ってきた日本だが、ここにきてようやく、農林水産省も重い腰を上げた。 今月、政府が発表した「21世紀新農政2008」では、本格的な食料自給率の向上を目指すことに加え、人口増加だけでなく、地球温暖化といった気候変動による不作など、さまざまな事態に備えた需給モデルを作成することを決定した。 日本にとって死活問題といえる食料確保戦略を担うのは、今年4月に誕生した「食料安全保障課」。中央省庁の中枢である大臣官房に設立され、発足当初から14人もの人員を抱える。農水省の意気込みの証左と見ていい。 初代課長に就任したのは末松広行氏で、小泉内閣時代には内閣参事官を務め、農水省内部でもエリートの呼び声が高い。自給率が下がり続ける一方、減反や休耕地の増加で、農地の有効活用ができていない日