格差の拡大に伴い、日本は本当に先進国なのかと問わざるをえないような状況が目立っている。2006年にOECDが公表した「対日経済審査報告書」がマスコミ等で大きく取り上げられたのもその理由からだろう。 同書は、わが国の相対的貧困率が米国とほぼ肩を並べて、OECD加盟諸国のなかでも群を抜く貧困大国になったとしている。国民全体の所得分布から見て、年収が中央に位置する人の半分に満たない所得しか得ていない人の割合が、OECD加盟諸国平均の8.4%を大幅に上回って、13.5%に達したのである。 とりわけ問題なのは、所得の再分配がまったくと言ってよいほど機能していないことだ。グローバル化が進むということは、世界で最もコストの低い国と競争するということであり、労働力の柔軟性を確保しようとすれば、どの国だって格差は拡大する。それを補って社会の安定を保つのが所得再分配なのだが、日本は機能していないどころか、子ど