結婚式に行くと、たいてい一人くらいは目立つ人がいるものだが、今日のは強烈だった。 気になりだすと止まらない。ズルいくらい面白い。はっきりいってスター性を感じた。 その人(以降、便宜的に「スター」と呼ぶことにする)は、新婦の会社の上司。相当偉い人だそうだ。 見た目は普通のおじさんだ。痩せ型で背が高く、頭髪についてはかなりの後退を余儀なくされている。 彼が只者ではない兆候は、祝辞を述べているときからあった。 式がはじまった直後、乾杯前の祝辞。 スターは最初は緊張していたが、話が(ケーキカット代わりの)日本酒樽の鏡割りに及ぶと、急に口が滑らかになりだした。 ムッチャ日本酒に詳しい。何やら専門用語や銘柄地名の類の言葉がバンバン出てくる。ときおり、ふと話すのをやめて、 「……美味しそうですよねえ……」 と、しみじみとつぶやく。 どうやら心底お酒が好きらしい。 その後、披露宴が進むにつれて、僕は、ある