これは、京都の人たちにとってあながち冗談ではないようだ。太平洋戦争で京都は空襲の被害を受けなかった。しかし、応仁の乱(1467~1477年)で京都は焼け野原になっている。京都の人にとって、自分たちの住む町を壊滅させ、歴史を分断してしまった「直近」の戦争が応仁の乱なのである。 そこには京都人のプライドもにじむ。京都は、それだけ長い歴史を背負っているということだ。東京が日本の首都になってから、まだせいぜい百数十年。一方、京都は1000年にわたって日本の「都」だった。京都こそが、ずっと日本の歴史の中心だったのである。 『宮司が語る京都の魅力』(PHP研究所)を読むと、京都を理解することと日本文化を理解することは、限りなく一体だということがよく分かる。私たちは意識せずとも、古来から連綿と続く日本の伝統文化の中で生きている。それらは実は様々な形で京都とつながっている。 著者は、京都にある恵美須神社の