哀愁を帯びたディープな現実を淡々と剥き出しの言葉に変えてきたリリシストが、新たな一歩を踏み出した。路地裏の湊には、鬼の信念と優しさが溢れている! 震災にも見舞われた福島県いわき市の出身で、現在は東京を拠点に活動するMC、鬼。彼がファースト・アルバム『獄窓』から約1年半ほどにして、10曲入りながらもミニ・アルバム扱いだという新作『湊』を発表した。行き場のない生活と捨て鉢な開き直りがないまぜとなった前作は、聴く者にとっても現実が重たく横たわる作品だった。しかし、『湊』にそのような姿はない。〈過去のことなど問題ねぇ/走りぬくことだ止まらないで〉(“自由への疾走”)と歌う鬼には、吹っ切れた様子も覗く。「物事がシンプルに見えるようになりましたよね。自分のやりたいこと、やってきたこと、できることもそうだし」と彼がいま話せるようになったのも、子供の誕生という大きな節目を迎えたことが大きかった。彼はそれを
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