立花 まず、朝日新聞科学部創設50周年ということで、私と科学部の関係からお話ししたいと思います。90年代、私は朝日新聞の科学部、特に『科学朝日』(1989〜96年)と『サイアス』(96〜2000年)という雑誌でいろんな連載をしまして、この6冊は全部その連載から生まれた本です(図1)。 そのころ、ずっと連載をやっていた『サイアス』が2000年につぶれちゃうんですね。これは社会的大事件であると同時に、朝日新聞科学部にとっても大事件のはずなんですが、皆さんのお手元のプログラムの後ろに掲載されている年表「戦後の科学のあゆみと朝日新聞」には、それが出ていません。 出ていませんが、これは大事件でして、「小林・益川理論」という、素粒子の世界では一番有名な理論の先生が、もう間もなく、間違いなくノーベル賞を取るだろう、おそらくこの連載が続いている間に取るだろうと予測して、まさにその連載の佳境に差しかかったと