JCBのPR誌『ゴールド』に2年間(1999~2000年)にわたって連載したコラム『オタマジャクシはバッハの子』からの“蔵出し”第6回目です。今回は、大スター美空ひばり!の登場です。 子供のころ、美空ひばりが、どうしても好きになれなかった。というより、大嫌いだった。 『柔』は、大仰ないかにもわざとらしい歌い方が耳障りに思え、『真っ赤な太陽』は、ミニスカートで踊りながら歌う姿が醜悪にしか見えなかった。なのに、どうして、こんな歌手が大騒ぎされるのか、不思議でならなかった。 ところが、大学に進んだころ、「アングラ歌手」などと呼ばれて人気のあった浅川マキのコンサートで、彼女がひばりの歌をうたったのを聴いて驚いた。 ♪右のポッケにゃ夢がある、左のポッケにゃチューインガム・・・という歌詞がひばりの歌だというくらいは知っていた。しかし、どうして、ひばりの歌なんかをうたうのか? と訝しく思いながらも、その