現在公開中の映画『核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝』でも見られるように、95歳になった今も全国を行脚し、命の尊さを訴え続ける医師・肥田舜太郎。 自身も広島の原爆により被爆し、戦後、被爆者医療に60年以上携わってきた。 当時の被爆者の惨状を知る唯一の医師に、福島原発事故以降、ますます関心が高まる内部被曝についてきいた。 ——そもそも先生はなぜ医者を目指されたんですか? 「小さい時から親戚や周りに病人がいて、みんなが苦労してるのがわかったのね。親族や家族にひとり重い病人が出ると、それは時に貧乏の苦労よりも大きな心配になっていく。それを見て医者になりたいと思いました。でも戦争中、やっと医者になったと思ったら、戦地から帰ってくる兵士が患者で、一生懸命やると良くなる人もいたけど、彼らは治ると家じゃなくて送られてきた部隊へ戻るわけだ。たとえ部隊が中国で行方不明でも、内地の事務はお構いなしに『戻れ』