引っ越し当初、まだエアコンを設置していない寒い部屋で私と母は凍えていた。 なんとか耳だけはいつもの防寒対策で暖かくできたのだが、部屋自体は寒く電気ストーブなどで寒さを凌ごうとしたがどうにもならず、暖をとるため当時飼っていた犬の取り合いにまで発展した。 人間のあまりの愚かさに嫌気がさしたのが、犬は深いため息を吐くと自分の小屋に入ってしまった。 愛犬に見捨てられてしまった……と、悲しみに暮れた私たちは 「各々自分の部屋で毛布にくるまろう」 とリビングで解散し、のろのろと自室へ向かった。 毛布に包まり、うつらうつらしているとインターホンの音で目が覚め、数秒後に短い悲鳴が聞こえた。 まさかとは思ったが万が一の為に木刀を持って急いで下へ降りた。 すると、凄い形相の男が玄関に立っていた。 母がこちらを振り返ると、母は目と鼻と口が出るタイプの覆面を被っていたままだった。 寒さ対策に目出し帽を被っていたの