ホッブスの万人の万人に対する闘争という言葉がある。この言葉を地で行くのがアマゾンに住むヤノマミ族だ。「5万年前」にはヤノマミ族に関する記述がある。彼らには殺し合いをしてはいけないという掟はないようだ。逆に人殺しの経験がある男性は、妻の数が2.5倍ほど多いのだという。アフリカ南部に住むサン族はプライバシーや私有財産という概念がない。権力者がいないので、調停の方法は、話し合い→決闘→殺し合いというように進むのだそうだ。 よく、人殺しをした人はすべて死刑にすべきだという議論がある。人の命と命を対価交換しようという理屈だ。これを突き詰めてゆくと、欲望を満たす為に自分の命をリスクにさらしてもいいと思うのであれば、人を殺してもよいということになりかねない。現代社会に住んでいる人たちは、この可能性を排除するために「人はもともと人殺しなどできないようにできている」とか「人の本性は善だ」と言ったりするのだが