日本で「バングラデシュ」という国、その位置を知っている人は、どのくらいいるだろう。残念ながらその数は決して多いとはいえない。あるいは、しばしば、「バングラデシュ」といえば、洪水や貧困など負のイメージが先行して語られる。これは、かつて同じ国を形成していた、お隣インドの知名度とは大きな違いだ。 では、料理はどうだろう。「インド料理」といって容易に連想されるものはカレー。スパイスの効いた「本場のカレー」が一つの売り文句だ。日本ではカレーは、外来文化ではあるものの、古くから日本風にアレンジされて、既に「エスニック料理」の域を越える。今では堂々と一般家庭の食卓に並び、子どもの大好物としての地位を有している。インド「本場のカレー」は、そうした「日本カレー」の存在に支えられながら、しかし別のエスニック料理としても認識され、受け入れられている。いまやインドカレーのレストランは、関西だけでも大小あわせて50