2019年10月4日に日米で公開された映画『ジョーカー』。ヴェネツィア国際映画祭での金獅子賞受賞を皮切りに、全世界で絶賛の声がやまず、アメリカでも日本でも興行収入初登場1位確実となっているこの作品内で使われる音楽について、映画や音楽関連だけではなく、今年3月には2作目となる小説『インナー・シティ・ブルース』も発売されるなど幅広く活躍されている長谷川町蔵さんに寄稿いただきました。 ゴッサム・シティ。神経系統の病気でとつぜん笑い出す病気を抱える青年アーサー・フレックは、愛想を振りまくピエロとして働きながら、老いた母と慎ましく暮らしていた。彼の夢は、いつかスタンダップ・コメディアンとして、人気司会者マレー・フランクリンのナイトショーに出演すること。しかし偶然が重なってピエロの仕事をクビに。おまけに財政困難に陥っているゴッサム・シティの福祉サービス削減のため、薬の支給まで打ち切りになってしまう……