過激派組織IS=イスラミックステートによる、イラク北部に暮らす少数派ヤジディ教徒への筆舌に尽くしがたい迫害が起きてから5年。みずからは虐殺を生き延びたものの、ISに連れ去られた娘を探し続ける男性の今を見つめました。(カイロ支局記者 柳澤あゆみ) 2014年8月、イラク北部のコジョ村で撮影された映像です。過激派組織ISが村人を男女に分けています。その後、男性たちは村の外れの空き地に連れて行かれて殺され、女性たちは戦闘員による凄惨(せいさん)な性暴力を受けました。ISは、この地域独特の宗教「ヤジディ教」を信仰する少数派の人たちを「悪魔を崇拝している」などとして迫害したのです。 ISが襲撃したコジョ村で起きた虐殺を生き延びた人がいます。イドリス・タハさん(48)です。 マシンガンを手にした20人ほどの戦闘員に囲まれたとき、タハさんは17歳の息子のイブラヒムさんの手を強く握りました。男たちは「神は