沖縄戦について書かれた本の記述をうのみにして、大戦末期、当時の守備隊長らが、住民に集団自決を命令したと、決めつけただけではない。会ったこともない元隊長の心の中に入り込んでしまう。 ▼「戦争犯罪人」であり「屠殺者」は、「あまりにも巨きい罪の巨塊」の前で「なんとか正気で生き伸びたいとねが」い、「かれのペテンはしだいにひとり歩きをはじめた」とまでいう。三十数年ぶりに『沖縄ノート』を読み返して、あらためてノーベル賞作家の想像力のはばたきに脱帽した。 ▼もっとも、書かれた方はたまらない。個人名がなくても、隊長は島に1人しかいないのだから特定は容易だ。そもそも「軍命令などあり得ない」と、元守備隊長らが、著者の大江健三郎氏と岩波書店に損害賠償などを求めた訴訟を起こしている。 ▼先週大阪地裁であった口頭弁論で、大江氏側から提出された陳述書を読んでまた驚いた。大江氏は元隊長ら個人に対してというより、当時の日
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高校日本史教科書の沖縄戦における集団自決について、「日本軍に強いられた」と書いた教科書に検定意見がつき、修正された問題では、与野党議員の発言に事実関係誤認やすり替えが目立つ。「集団自決は軍が全く関与していないことはありえない」(民主党の小沢一郎代表)などの批判が代表例だが、そもそも検定後の教科書も日本軍の関与は否定していない。 また、検定制度は、学習指導要領に沿ってさえいれば、出版社(執筆者)が自身の考えを盛り込めるものであり、政治の介入はなじまない。 昭和20年の沖縄戦での渡嘉敷、座間味両島などでの集団自決に対しては、戦後長く守備隊長の命令だったとされ、作家の大江健三郎氏が著書「沖縄ノート」で軍命令だったと断じていた。 だが、作家の曾野綾子氏が渡嘉敷島で取材した「ある神話の背景」などによると、むしろ守備隊長は自決を制止していた。また、遺族年金受給のために関係者が「軍命令だった」と偽ってい
国会は4日、参院本会議で福田康夫首相の所信表明演説に対する代表質問が始まった。衆院を含め質問に立った自民党を除く各党は、沖縄戦で旧日本軍が住民に「集団自決」を強制したとする記述が削除された高校日本史教科書検定の問題を取り上げ、事実上の記述復活を要求した。政治の不介入が原則の教科書検定問題が、国会の場で政治問題化する異例の事態となった。 公明党の太田昭宏代表らは9月29日の沖縄県民大会に11万人が集まったとして重大性を指摘。この主催者発表の人数の信憑(しんぴよう)性を指摘する声もあるが、首相は「多くの方々が参加された思いを重く受け止める」と述べるにとどめ、政治介入は避けるべきだとの認識を示した。 太田氏も「政治が介入してはいけない」と指摘する一方で、改めて公的な調査研究機関の設置を提案。「問題を起こした責任は政府にある」と主張した共産党の志位和夫委員長は、質問後の会見で政治介入の懸念について
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