ゲスいことは書かない。 もしも若いライターさんに文章力向上についてアドバイスを求められたとしたら、ぼくはそう答えるかもしれない。テクニック以前の、身の置き場として。自分がどういうフィールドで切磋琢磨するかの話として。たぶんこれ、多くの人が思っている以上にたいせつな話だと思う。 たとえば、「あの人、書いてることはゲスくて賛同できないことも多いんだけど、文章はうまいんだよなあ。なーんか読ませちゃうんだよなあ」というライターさんがいたとする。 多くの場合それは「ゲスいことを書いているのに、文章がうまい」のではなく、「ゲスいことを書いているからこそ、文章がうまく見える」のだと、ぼくは思っている。 誰かを責めたてることば、人の失敗をあざ笑うことば、足を引っぱるためのことば、いわゆるところの罵詈雑言。冷笑、失笑、揶揄の苦笑。これらのことばはおもしろいくらいに多種多様であり、スリリングであり、ゆえに痛快
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