なぜ「お受験エリート」は間違えるのか――。「『皆が言っていること』を鵜呑みにして『事実』を見ようとしないからだ」と『デフレの正体』著者・藻谷浩介さんはいう。全国をくまなく歩き、現場を知悉する理論家が、日本経済に関わる疑問に答える。 「××性」「××率」「1人当たり××」という数字は、慎重に扱ったほうがいい。経済学に通暁しているような人でも、それが分数であることを忘れたまま議論を進めているようなことが少なくない。 例えば「出生率」。出生率が下がれば子どもが減る、と考える人がいる。だが、出生率とは、子どもの数を親の数で割った数字である。出生率が下がったからといって、子どもの数が減るとは限らない。逆に、親の数が減れば、出生率が上がっても、子どもの数は減る。実際に、厚生労働省の「人口動態統計」によれば、合計特殊出生率は05年に1.26と過去最低を記録してから09年まで一貫して上がっているが、09年