小椋佳さんの作曲法はすごい。自分の詩を書き留めたノートを読みながら 自然に曲ができてしまう。ただ、それだけ。楽器はまったく使わない。 ある日、吉田拓郎さんは、松本隆さんから“新作の歌詞”を受け取って、本人の前で手元のギターをとり、コードを弾きならしながらハミングするように口ずさんだ。 それで出来上がった。 ほんの数分であった。名曲『外は白い雪の夜』が誕生した。 <拓郎は天才だ!>。松本隆さんに、そう言わしめた瞬間であった。 先々月亡くなられた、作家・作詞家である山口洋子さんは、女優業を経て東京・銀座でクラブ「姫」を開店したという経歴がある。そのときの体験が、のちの作家活動に大きな影響を与えた。 作詞家として数多いヒット曲の中で、その代表ともいえる『よこはま・たそがれ』の歌詞は、とても興味深い。 <“よこはま”、“たそがれ”、“ホテルの小部屋”や“木枯し”、“想い出”、“グレーのコート”・・