子ども向け科学雑誌「子供の科学」が創刊された一九二四年は、関東大震災の翌年であり、日本でラジオ放送が始まる前年にあたる。 創刊号では「この雑誌の目的は、ほんたうの科学といふものを皆さんに知っていただくこと」と意気込みが語られ、特集はずばり「受信機の作り方」。現在の柏木文吾編集長(37)は「科学への関心が高まっていた時代なのでは」と推測する。 科学系の日本人ノーベル賞受賞者の多くが、子どものころに読んでいたという同誌。孫に買い与える祖父母も少なくない。日本の月刊誌で初めて導入したというカラーグラビアなど、子どもをひきつける工夫は一貫して変わらないが、記事の内容には時代が反映されている。