『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』(講談社)で、街頭で差別発言や扇動を繰り返す人々の存在をクローズアップしたジャーナリストの安田浩一さんは、2015年5月発行の新著『 ヘイトスピーチ 「愛国者」たちの憎悪と暴力』(文春新書)で、差別への怒りと、差別する人(レイシスト)と戦う姿勢を前面に押し出した。前著での「彼らは何者なのか」という問いかけから、「怒りを伝えて、社会的に共有したかった」と話す。 一方で差別を受ける当事者は、拳を振り上げて正面から戦う人ばかりではない。同じ社会の構成員として、どう向き合うべきなのか。1999年、自身や家族のアイデンティティーを見つめた自伝的ドキュメンタリー映画「あんにょんキムチ」が高い評価を受けた、在日コリアン3世の映画監督・松江哲明さんと、安田さんが対談した。