かつて制限選挙だったころ、税金を一定以上支払うことが選挙権を持つための条件だった。 そうした人たちは勿論資本を持っている人々だ。ただし、たんなる資本を持っているだけではなかった。 産業や教育に要職を歴任したり、地域の役員だったりする。学校つくったりとか、舟運を整備したりとか、産業組合を結成したりとか。 そしてそうした役割に耐えうるだけの知識や教養を持っていたし、あるいは持ちうる環境にあった。 そうした人が、政治的判断力を持つとみなされ、投票に及んだ。 ひるがえって現代ではどうだろうか。現代では長い間の闘争によって成人の普通選挙が実現している。 だが、人々の政治への関心や政治的な判断力はどうだろうか。 かつての選挙権を持つ人は、社会の様々な動向に携わるからこそ政治への関心を持っていた。自分の活動と政治が近いところにあったのだと思う。 だが凡百の私たちは。 投票率が上がらないのはなぜだろうか。