『桜井ママ…』 『どうしたの順一君』 『僕…僕!』 『順一君、ちょっと落ち着きなさい。ちゃんと話聞いてあげるから、ね!何があったの!?』 『今日定食屋さんの店員さんが、せっかく見送りしてくれたのに、僕、僕恥ずかしくて、挨拶もしないで走って逃げて来ちゃった』 『まぁ…』 『僕、情けないです、人として最低限の礼儀も出来ないなんて。店員さんに申し訳ないから、もうあの店には行けません』 『順一君、何でそんな逃げるほど恥ずかしかったの?』 『よくわからない…』 『お見送りされて嫌な気持ちだった?』 『嫌じゃありません!』 『じゃ、嬉しかったの?』 『うーん、嫌とか嬉しいとかより、どうしようって思いが強かったかも…』 『店員さんはいつも順一君をお見送りしてくれるの?』 『違います!今日が初めてです』 『あと他には?その店員さん何かしたの?』 『手を…』 『手?手をどうしたの?』 『握ってきました』 『