「映画とは壁である」と言ったのは押井守だったが、今作を映画館で見るということは、まさにスクリーンにぶつかり跳ね返ってきた自分の「ドラゴンボール」に対する思いを確認する行為である。 映画を見る前、そして見た後、これまでの人生で一番長い間「ドラゴンボール」について私は考えることになったが、たどり着いた結論は自分にとって「ドラゴンボール」とは「イノセンス礼賛」の物語だ、ということであった。 悟空は初登場のその瞬間から、無垢で無邪気で無知というイノセントな存在として描かれ、それは最終回まで変わらない。そして一番大事なことは、このドラゴンボールの世界ではイノセンスと強さが完全にイコールとして描かれているという事実。これは悪役を強さの順で並べれば一目瞭然であるが、 ピラフ大王<レッドリボン軍<ピッコロ大魔王<ベジータ<フリーザ(最終形態)<人造人間<魔人ブウ より強い敵とは、よりイノセントな存在であり