「ウォッチメン」鑑賞。 原作は80年代中頃に発行されて以来、アメコミの金字塔として賞賛され続けている大傑作。当然、映画化の話も発売された当時からあって、実際ボクがこのコミックの存在を知ったのは「未来世紀ブラジル」日本公開時にテリー・ギリアムが『ボクの次回作はコレになるよ!』とハイテンションでインタビューに答えていた時だから、かれこれ20年前という事になる。 で、映画化が頓挫し続けて今日のザック・スナイダー版に至っているワケなのだが、今まで製作されそこねていたのには理由があった。この「ウォッチメン」というコミックは、『コミック』という形態を極限まで活かした物語であったからだ。 例えばキャラクターがセリフを言う、その後ろにある壁のラクガキが市民の鬱屈した声を代弁し、風に吹かれて飛んで行く新聞には社会情勢が記されている。巻末に挿入される架空の出版物、インタビュー、書簡などが物語のバックグラウンド
四海鏡さんのエントリーで江頭2:50が映画本を出している事を知った*1。四海鏡さんは前書きから一節を引用し、『批評する側に立った人間が、こんなにもハッキリと「批評することは簡単だけど、創ることは難しい」と言うのには、本当に勇気がいるんじゃないかと思う。』と褒めてらっしゃるのだけれど、ボクにはイマイチそれが褒めるに値しないのではないか?と思ってしまった。 以下、四海鏡さんが引用した江頭2:50による前書き。 でも、みんなにこれだけは言っておきたい。 例え、どんなにつまらない映画があったとしても、批評するオレより映画のほうが上だ! もし、その映画がウンコでも、オレはそれをエサにしてしか生きていけないハエなんだ。 批評することは簡単だけど、創ることは難しいぜ!そこだけは心して読んでくれ。 一応、本屋で一通り立ち読みしてみたのだけれど、文脈上も四海鏡さんがおっしゃっているように、創作者へのリスペク
「ヤッターマン」鑑賞。 ドクロのキノコ雲が村上隆によってアートにされた事でも有名な竜の子プロ人気シリーズアニメ実写映画版。 オープニング、渋谷と思わしき見慣れた街が無惨に崩壊し、その瓦礫の中に「みなしごハッチ」が四つん這いになった銅像がある。 『ハッチ公前』 なんというか、こうも贅沢にくだらない事をされるとうれしくなってしょうがない。 「映画秘宝」の三池監督インタビューによると、元々「ガッチャマン」映画化の打ち合わせの席で「ガッチャマンよりヤッターマンの方がイイですよ!」と、推して今回の映画となったそうだ。 本編上映前に「キャシャーン」キリキリによる新作「GOEMON」の予告が上映されていたのだが、上記のような話を鑑みるとプロデューサーが「ガッチャマン」の企画をキリキリに持っていかなくて本当に良かったなぁと安堵してしまう。これがキリキリなら待ってましたと「ガッチャマン」を黒ずくめの集団にし
「ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー」鑑賞。 アクション娯楽映画には『フォーマット』と呼べるような物がある。ゲームを元にしていようと、コミックを元にしていようと、主人公のキャラクターが『熱血の正義漢』でも『世をすねたペシミスト』でも、フォーマットのくびきから、そうそう外れる事は無い。 たとえば、近々公開される「ドラゴンボール エボリューション」だが、原作は主人公/孫悟空の少年から青年、子供を持つ親になり、そして死と、死からの帰還までもが描かれる数十巻におよぶ大長編である。 現状での映画版の情報から推測されるのは、原作で少年期にあたるレッド・リボン軍/ピラフとのドラゴンボール争奪戦、牛魔王やチチあたりのエピソードとホカホカパンティまでは要素のみ抽出して大部分はオミット。中心になるのはピッコロ大魔王との戦いだが、おそらくピッコロと神様の関係は全く新しい設定となっているっぽい
「少年メリケンサック」鑑賞。 脚本家、宮藤官九郎/クドカンの監督2作目。 ボクは監督の前作「真夜中の弥次さん喜多さん」は大好きだ。やけくそに真面目な事は一切やらないと心に決めたのっぴきならない旅と、その旅に呼応するように一切を真面目にやらない映画。 公開初日、映画が終わり、客電のついた瞬間の衣擦れの音さえ響くあの空気は本当に素晴らしかった。テレビの人気脚本家が、自分のファンの大多数を切り離すような先鋭的で切実な映画を作ったのだ。本当に痛快だった。 そのクドカンの2本目だ。しかもパンクが題材だ。いろいろと嫌なウワサは聞いていたのだが、そんなのは趣味の違いだろうと劇場へ行った。 ダメでした・・・ この映画の感想をいくつか見て廻ったのだが、「パンクはよく解らないけど、映画は良かった。」というような事を言っている方がいて、大変納得してしまった。 少し前なら『メガネ男子』。今は『草食系男子』などなど
「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」鑑賞。 「タイタニック」は近年で一番知られている恋物語だとして異論は無いだろう。情熱的だが貧乏な画家志望のデカプリオと、一流の社交界に身を置きながら満たされない想いをいだくお嬢様ケイト・ウィンスレットの恋は、タイタニック号の崩壊と共に燃え上がり、そして一緒に儚く散る。その2人が約10年の時を経てふたたび共演した事でも話題の作品だ。 この映画のキャッチコピーは「それは、誰もが逃れられない<運命の愛>」「あなたの最愛の人は、あなたを愛していますか?」ア〜イアイ!ア〜イアイ!おさるさん並に“アイ”の乱れ撃ちである。公式HPの、どの宣伝文句やコラムを見ても「愛」の文字は必ず謳われている。 まぁ、それも語弊は無いと言える。ただ、この映画は非常に誠実に「愛」と、その先にある「理解の幻想」までも見据えてしまったが故に、いわゆる『ラブ・ストーリー』からは逸脱
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