→紀伊國屋書店で購入 佐藤優氏は1987年にロシア語研修のためにモスクワ大学言語学部に留学した後、そのままモスクワに在勤する。途中、中断はあるが、モスクワ勤務は1995年まで7年8ヶ月にわたる。この間、1991年のソ連崩壊やエリツィン政権の成立があった。異例の長期モスクワ勤務は著者がつくりあげた人脈が必要とされた結果だろう。 クレムリン内部だけでなく、独立派にまで人脈をもっていた著者が現場で目撃したソ連崩壊のドキュメントというだけでも重要だが、著者はソ連崩壊のような歴史的事件になると政治学や経済学では間にあわず、哲学や神学のレベルで受けとめる必要があると書いている。本書は思想の問題としてソ連崩壊を考えようとしているのである。自己の経験を思想レベルに昇華しようという努力が本書の特質となっている。 著者がソ連=ロシアと係わるようになったのも神学がらみだった。著者は学部と大学院を通じて「プラハの