今週のお題「雪」 音楽批評 日本の歌は、「雪」と相性がいい。 演歌でも、J ポップでも、雪をテーマにした曲は名曲ぞろいである。 J ポップ、フォーク、ニューミュージック系でいえば、まず筆頭にあがってくるのは、イルカの『なごり雪』。 あるいは、レミオロメンの『粉雪』。 そして、中島美嘉の『雪の華』。 このなかでは、イルカの『なごり雪』が作詞的(伊勢正三・作)には群を抜いている。 これは、少女から大人に脱皮していく女性を見つめる男性の視点で描かれた歌だが、何が切ないかというと、 「♪ 春が来て、君はきれいになった/ 去年よりずっときれいになった」 と認めながら、この男性が少女に対し、何も手を出せないところにある。 「好き」ともいえない。 手を握ることもできない。 再会を約束することもできない。 「好き」といえない事情は、歌詞の奥に隠されている。 いろいろと理由はあるのだろうけれど、そこが伏せら