ストレスの多い社会とも呼ばれる現代、精神疾患の患者の数が増え続けています。実は、私もその1人で、さまざまな症状と闘いながら今も向き合っています。患者にとって、何にも代えがたいのが、安心して診療を受けられる環境です。それを提供しようと、診察室を飛び出した佐賀県の医師に密着しました。(佐賀放送局記者 本田光) 「家から出ることができず、病院に通えない」 「どんなに勧めても病院に行きたがらない」 精神疾患の人や家族が語ったことばです。受診すらままならない実態がかいま見えます。 佐賀県の60代の男性は、20代前半で統合失調症を発症し、徐々に症状が悪化。ここ数年は排せつや入浴もままならずほぼ寝たきりの状態です。 コミュニケーションをとろうとせず、病院に行くことをかたくなに拒む日々に、同居する親族も途方にくれていたといいます。 こうした状況を変えたのは、佐賀県内で訪問診療を行う精神科医、谷口研一朗さん