2015年12月7日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、探査機「あかつき」の金星周回軌道投入に5年ぶりに再挑戦し、成功を収めた。この5年間、日本社会の宇宙開発に対する見方には大きな変化があった。 宇宙開発では忘れ去られる「順調な成功」米航空宇宙局(NASA)アポロ計画の7号から17号までの有人飛行は、すべてが何らかの形で成功とされている。そのうち11号は、月面着陸の中継映像から流れた「これは人類にとって偉大な一歩だ」という言葉とともに、歴史の1ページとなっている。そして月周回軌道に入りながらも機器の異常により月面着陸を断念した13号も、地球帰還時の記録フィルムのみならず、トム・ハンクス主演のヒット映画を通じて、私たちに強烈な印象を残している。しかし他の9機については、月面着陸ばかりか宇宙飛行士の船外活動や軌道上の長期滞在にも成功しながら、一般の人々には印象が薄い。忘れ去られているといって