ローマ法王ベネディクト16世は、日本に住む7歳の少女から、「どうして日本の子どもは怖くて悲しい思いをしなければならないの」と訊かれて、「私も自問しており、答えはないかもしれない」と返答しました。このやりとりは日本でも報じられ、多くの日本人は、「大震災の悲劇はローマ法王の信仰ですら揺るがした」と理解しました。 しかし、これは正しくありません。 稀代の碩学である故・小室直樹博士は、「キリスト教の本質は予定説である」と述べました。予定説というのは、この世界で起きる出来事はすべて神によって「予定」されており、個人の信仰や努力にかかわらず、誰が救われて誰が救済されないかはあらかじめ神によって決められている、という論理です。 この予定説を否定してしまってはキリスト教徒ではなくなってしまいますから、当然、ローマ法王は大震災も原発事故も神の「予定」であると確信しています。しかしなぜ神がこのような災害を起こ