【上昌広/内科医・東京大学医科学研究所特任教授】 臨床研究を巡る不正が世間を騒がせている。7月11日には京都府立医大、30日には慈恵医大が、ノバルティスファーマ社(ノ社)が販売する降圧剤バルサルタンに関する臨床研究に不正があったことを認めた。 マスコミは「医師と製薬企業の癒着」とレッテルを貼り、関係者を糾弾している。批判を受け、製薬企業は、大学への奨学寄付金や、医師との金銭授受について見直すという。 これらは、確かに重要だ。ただ、これだけでは問題は解決しない。なぜ、製薬企業と医師が、このような行為に走ったのか、その理由を深く掘り下げて考えねばならない。私は、今回の不祥事の原因は「政府による薬価統制」にあると考えている。 国会のチェックなしに決まる薬価 我が国の製薬・医療業界の特徴は、強力な厚労省支配だ。そのツールの一つが、厚労省に設置された中央社会保険医療協議会(中医協)を介した価格統制で
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