今、BSプレミアムで再放送中のNHK連続テレビ小説(通称「朝ドラ」)『芋たこなんきん』(2006年度下半期)が、再評価されている。 これは、田辺聖子の半生と数々のエッセイ集をベースとし、当時朝ドラ史上最年長ヒロインだった藤山直美が主演を務めた作品である。視聴率は芳しくなかったが、朝ドラを長年視聴し続けてきたファンからは高い評価を得ており、再放送もDVD化もされていないことを嘆く声はかねて多かった。 大きな出来事は起こらないものの、会話劇を主体とし、「日常」の積み重ねを丁寧に描く作風は、むしろ現代的だ。それに、藤山直美×國村隼を中心とした名優たちの芝居をしっかり観られるという魅力も、朝ドラを脚本や演出・芝居でしっかり観る人が多い今のほうが、伝わりやすい気がする。 しかも、戦争の描き方には考えさせられることが多く、生活苦でホームレス状態の人が多数生まれた状況、医療費を支払えないために病気を悪化