新型コロナウイルス禍で収入はゼロ、所持金は300円あまり。追い詰められた28歳の男性が選んだのは、東京への「出稼ぎ」だった。初めて緊急事態宣言が出された1カ月間、料理宅配サービス「ウーバーイーツ」の配達員として自転車をこぎ続けた男性は「2020年の東京は焼け野原だ」と感じたという。疾走する自転車から見えた景色はどんなものだったのだろうか。【山下智恵/デジタル報道センター】 仕事なくなり上京、ウーバー配達員に 男性は、青柳拓さん。大学で映画を学んだあと、地元の山梨県で映像製作の仕事や運転代行のアルバイトをしながら映画を作る機会をうかがっていた。しかし、新型コロナの感染拡大で仕事がなくなり、収入がゼロに。地元にはほかに仕事がなく、出稼ぎを決意した。「何よりお金がなく、稼がないといけませんでした。もちろん人がいなくなった東京にも興味がありました。自由に動ける自転車配達員の視点から記録すれば、何か