さて、プーチンのことだ。 彼が一時記憶を失っていたことがあるというのはご存知かと思う。その記憶を失っていた半年ほどの間に世界は大きく変わった。というより地球が大きく変わった、というべきかもしれない。記憶をとり戻したプーチン自身、自分が別の惑星に放り込まれたのではないかとすら思ったそうだからね。 プーチンが目を覚ました世界は地獄そのもののようなところだった。 大地は赤く焼けただれ、大気はぬるく、血の匂いをたっぷりと含んでいた。 空に太陽はなかった。 空を覆う、ぶ厚く灰色をした雲の遥か高みに、かすかにぼやけた白い小さな点となって漂っているだけだった。 放射能を帯びた強い風が止むことなくひたすら吹いていた。 風は大小さまざまな金属片を巻き込みながら吹いていく。 地面近くを飛んでいく金属片は下手をすると体をざっくりともぎ取っていくほどの勢いだった。 プーチンはロブラフスカを呼んだ。ロブラフスカはプ
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