国内初の海水浴場は東京都港区芝浦−。鎌倉市建築住宅課職員の鈴木伸治さんがこんな記録を見つけた。医史学専門誌で発表し、静かに波紋が広がっている。定説は大磯町の照ケ崎海水浴場とされているが、それを覆す根拠とは? 記録は、旧東京市による史料集「東京市史稿」にあった。それによると、鐘ケ江晴朝という医師が1877年、芝浦に潮湯治のための海水浴場を開設する「地所拝借願」を旧東京府に提出した。翌78年に許可され、現在のJR浜松町駅周辺にある高層ビル群の埋め立て地に開設された、と伝えている。 明治時代の「ものの初め」を網羅した事典「明治事物起源」は海水浴場の発祥地として、1885年に初代陸軍軍医総監の松本順が開設したとする照ケ崎海水浴場を挙げている。この記述を後発の文書や事典が踏襲したことから、「大磯発祥」が定説になったようだ。芝浦説は、この7年前に当たる。鈴木さんによると、北海道・函館や岡山・倉敷も