私事で恐縮であるが、別居していた妻が帰ってきた。嬉しいかぎりである。翳りゆく部屋で、出がらしのほうじ茶のマグカップに手をつけずに妻が「ゴメンね。キミのEDをわかってあげられなくて。ごめんね許してなんて言えないよね。ひどすぎるよね」とナウシカのように言うのを僕は体液が吹き出ないように聞いているしかなかった。そう僕はどこに出しても恥ずかしくない立派なインポテンツ。 「周りの人がナニ不自由なく出来ることが出来ないのにね。その辛さで、頭がおかしくなっていたんだよね。でもいいじゃない。立たないのがキミの長所だと考えるんだ!」悲しみのあまり、確かに肉体の長い所の話ですけどねーとは言えませんでした。そう。僕は重圧を感じていた。立たないことではなく立たせてみよう立つまで待とうという周りのホトトギスな空気が重苦しかったのだ。 不妊治療が決定打であった。インポの分際で不妊治療。まるで二階級特進。不妊も何も立た