人間の能力には限界がある。将来事象について、合理的な蓋然性についての判断は可能でも、予測はできない。このことを自覚的にわきまえて行う行為は、投資である。予測判断に基づく行為は、投機である。 予測は当たらない。予測が当たると、誰でも驚く。なぜなら、予測は当たらないことが前提だからだ。値上がりするという予測判断で投資することは、投機である。ならば、予測しない投資とは、どういうものだ。 不動産を例にとろう。不動産価格が高くなるから、賃料が高くなるのではない。逆だ。賃料が高くなるから、不動産価格が高くなるのである。合理的な投資判断の対象になるのは、賃料である。不動産価格の上昇に賭ければ、投機となる。賃料の分析から不動産価値を求め、その価値を取得すれば、投資である。 不動産の投資価値は、現在の賃料水準、管理費用、稼働率を前提としたとき、将来のネットの賃料収入の現在価値として、科学的に計測されるもので